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バーコード開発の歴史的経緯&読み取りの仕組み

バーコードの読み取り

バーコードは1967年にアメリカで初めて実用化されました。アメリカで開発された背景とは?バーコードが無かった時代はどうしていたのか?そもそも、なぜバーコードが必要とされたのか?

この記事では、そんなバーコードの歴史や仕組みについて解説していきます。

何故アメリカで導入されたのか?

この一因には、世界で稀に見るアメリカ独特の計算方法にありました。

アメリカでは、現代においてもヤード・ポンド法(本記事の末尾で紹介)という10進数とはかけ離れた計算方法が根付いています。3進数、12進数など様々な進数が混在する厄介な計算手法です。

にも拘わらず、ドルやセントといった紙幣の数え方は10進数だったので値段計算がややこしくなり、電卓すらなかった当時のスーパーマーケットのレジには連日順番待ちの長蛇の列ができておりました。

*10進数とは皆さんおなじみの計算方法です。10までいくと位を1つ繰り上げる計算方法です。一説では人間の手の指が10本だったから10進数が定着したと言われています。

一般的なステレオタイプとしてアメリカ人は計算・暗算が苦手と言われることがありますが、複数の計算方法が混在しているという背景事情を考慮すれば当然のように思います。

こういった事情もあって、スーパーのレジ打ちには相当なスキルが求められました。なにせ大挙して押し寄せる客の品物を一つ一つ素早く見分け、かつ値段を計算していたわけですから。まさに高技能人材ですね。

特に客の多い夕方などは、そんな【レジ打ちの匠たち】がしのぎを削る職場だったようです。

本書は、関係者への取材を丹念なもとにQRコードの今日に至るストーリーと読み解きながら、トヨタ生産方式、スクラム型開発、両利きの経営、ユーザーイノベーションなどを同時に行った、日本発のイノベーションの稀有な事例として描き出すものである。

バーコードの黎明期

そんな状況下でコンピュータが実用化を迎えていた1967年、アメリカの大手スーパーKroger社がバーコードを導入したのが実用化の始まりでした。

バーコードを始めて導入した企業

しかし当時のバーコードシステムには問題がありました。バーコードの読み取り精度が悪かったのです。加えて、商品に個別にバーコードを貼り付ける手間も問題視されていました。

そのために余分に人件費を割くくらいなら、これまで通り「レジ打ちの匠たち」に活躍して貰っていた方が費用を安く抑えられた訳です。

バーコードが普及したきっかけ

このような状況下で、新たなバーコードシステムを開発され、読み取り精度が向上しました。これは今でもよく目にする、太いバーと細いバーを組み合わせたもので、モールス信号をヒントに考案されたという説があります。バーの組み合わせが0~9の数字を表します。

バーコードとモールス信号

加えて、バーコードの読み取り機器には、当時革新的だったヘリウムネオンレーザー(まともに発光する、当時では唯一のレーザ)が採用されました。

読み取り易くなったバーコード&当時の最先端技術だったレーザ光が活用され、読み取り精度は格段に改善、実用に耐えうるレベルになったのです。

バーコード読み取りの仕組みについて

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情報管理に必須なPOS管理

バーコードシステムには、商品のPOS(Point Of Sales)管理ができるという大きなメリットがあります。

小売店のバーコードシステムでは、レジで読み取られた番号がコンピュータサーバーに送信され、サーバーはその商品の小売価格を調べてレジに送り返します。これを経てレジに値段が表示される仕組みなわけです。

バーコードとPOS

この過程で、どの商品がどのタイミングで売れたのかという情報を得ることができます。小売店側はこのデータを分析して商品の売れ筋動向を見出しやすくなり、かつ在庫管理も簡単になります。

例として日本でバーコードシステムが普及したのは、あのセブンイレブンがPOS管理を目的に全店舗での導入を強行したことがきっかけだったようです。

当時のセブンイレブンは、それまで商品を提供していたメーカーに対し、「今後、バーコードのついていない商品はセブンイレブンに納入させない」とまで宣言しました。

戦争でも活躍

別の例では、ベトナム戦争の際にアメリカ側は膨大な軍需物質の管理をするのに手書き伝票では対処に苦戦し、やはりバーコードによる情報管理を採用しました。

戦争とバーコードの歴史

このようにバーコードシステムはその利便性から、世界中に急速に普及していきました。

何故バーコードは読み取りを誤らないのか!?

バーコードの読み取りと言えば、レジの方が何度トライしても読み取れず、しまいには名称が同じ別の商品をわざわざ陳列棚から持ってきた、という体験をされた方は多いのではないでしょうか?(笑)

本当はこの場合、バーコードの下に印刷されている数字をレジに手入力すれば済む話なので、わざわざ別の商品を陳列棚から持ってくる必要は無いのですがね。

いずれにせよ、確かにバーコードはQRコード(Quick Response Code)と比較して読み取りづらい欠点があります。

しかし、「レジが別の商品と誤認識してバーコードを読み取った」という体験をされた方は果たしてどれほどいるでしょう?いらっしゃったとすれば、それは非常にレアなケースです。

読み取りを誤らないバーコード

バーコードはアナログな読み取りの仕組みなので、白/黒の領域を誤判定して全く別の商品と認識してもおかしくはないと思いませんか?しかし実際の誤判定率は100万分の1程度と言われています。なぜ、こんなにも低いのでしょう?

それはバーコードに誤判定を検知する仕組みが内蔵されているからなんです。バーコードの一番最後の桁の数字(チェックデジット)にその秘密が隠されています。

バーコードから数値を読み取り、以下の手法で計算した結果がチェックデジットと整合するか否かで、読み取った数値が正しいか判定を行います。

バーコードのチェックディジット

上記の計算はレジで行われます。仮にチェックデジットと一致しなければ、バーコードのどこかを誤って検出していることが分かります。

このような仕組みから、別の商品を購入したとレジが勘違いする事態は滅多に起こらないのです。

バーコードシステムが広く普及した背景には、それなりの理由があったのですね。

【おまけ】バーコード開発の遠因 : ヤード・ポンド法

最後にヤード・ポンド法について軽く小噺を。

冒頭でご説明したように、アメリカをバーコード採用に踏み切らせたきっかけとなったヤード・ポンド法は極めて複雑な計算方法で、古代ローマ・エジプトが起源です。

距離の数え方一つとっても3進数・12進数・1760進数をグチャグチャに組み合わせたような数え方をします↓。

【距離】1マイル=1760ヤード=5280フィート=63360インチ

*1ヤードは3フィート(3進数)、1フィートは12インチ(12進数)

更には距離・面積・重さなどケースに応じて進数が異なるといった鬼畜仕様となっております。

NASAでさえ苦労

これは本当に厄介な問題で、あのNASAでさえ重大な間違いを起こしました。

火星探査機が航行ミスで行方をくらましたのですが、この大元の原因が「ヤード・ポンド法で行った計算結果を、別の担当者がメートル法(10進数)で計算をした結果だと誤って解釈した」為であったことが判明します。

こんなしょぼい理由で、NASAは9400万ドルを費やした火星探査機を失いました。

NASAが9400万ドルを費やした火星探査機『マーズ・クライメート・オービター』

如何にヤード・ポンド法が厄介な代物か、よく分かりますね。

 

今回はこの辺りで終わりにしておきます。

次回はQRコードの仕組みと歴史について詳細に解説していきます!

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